Newton-X を分子研スパコンでちょっと使ってみる

  • Newton-X (NX) は、分子の励起状態ダイナミクスをシミュレーションできるアプリ
    • フランスにある Aix-Marseille 大学の Mario Barbatti グループ が中心となって開発されている
    • コンパイル済み実行ファイルが配布されている classical series と、最新版(new series)がある
  • 今回は、NX のコンパイル済み実行ファイルを使って、 分子研スパコン にインストール済みの量子化学計算アプリと連携させて、テスト計算を実行してみよう

インストールするアプリ

  • Newton-X classical series Version 2.6

プログラムを入手する

  • NX の Download ページに必要事項を記入して submit
    • すぐに、ダウンロード先へのリンクが書かれたメールが届く
  • メールのリンクをクリックすると、tgz 形式で圧縮されたファイル nx-v.26-b01.tgz (200 MB くらい) がダウンロードできる
  • ダウンロードしたファイルをインストール先(今回は分子研スパコン)に sftp コマンドや Cyberduck アプリなどを使って転送する

インストールする

  • コンパイル済みなので、実行ファイルを適切な場所に置いて、シェルの環境変数を適切に設定するだけでオーケー

実行ファイルを適切な場所に置く

  • ダウンロードした圧縮ファイルを展開する
tar -zxf nx-v2.6-b01.tgz
  • newton-cs というフォルダができるので、これを適当な場所に置く
    • 山本は、このフォルダの名前をnxに変えて、~/apl/nxに置きました
mv newton-cs ~/apl/nx

シェルの環境変数を適切に設定する

  • .bashrcの適当なところに下記を追加する
export NX=~/apl/nx/bin

テストする

  • NX は、Gaussian など、代表的な量子化学計算アプリと組み合わせることができます
  • 分子研で利用できる量子化学計算アプリを確認して、代表的な電子励起状態を解析するための代表的な計算手法(TD-DFT)を用いて、非断熱ダイナミクスのテスト計算を実行してみます

分子研スパコンで利用できる量子化学計算アプリを確認する

  • 分子研スパコンで利用できるアプリを確認する
module available
  • 利用できるアプリのなかで、Newton-X と連携できる量子化学計算アプリは…
    • cp2k
    • dftb+
    • gamess
    • gaussian
    • orca
    • turbomole

NX で実行できるテストを確認する

  • NX で実行できるテストの一覧を出力する
$NX/inp-testnx.pl

  • 上記のうち、分子研で利用できるアプリと連携し、TD-DFT / DFTB 手法を用いた非断熱ダイナミクスのテストができるものをピックアップ
    • 今回は、平面波基底の cp2k は除外
:
3) TURBOMOLE        TDDFT       : Dynamics, Non-adiabatic with cioverlap
4) TURBOMOLE        TDDFT       : Dynamics, Non-adiabatic with cioverlap-od
:
25) DFTB+            DFTB        : Dynamics, Nonadiabatic with cioverlap_od
:
28) GAUSSIAN         TDDFT       : Dynamics, Non-adiabatic with cioverlap
29) GAUSSIAN         TDA         : Dynamics, Non-adiabatic with cioverlap
30) GAUSSIAN         TD-UDFT     : Dynamics, Non-adiabatic with cioverlap
31) GAUSSIAN         TDDFT       : Dynamics, Non-adiabatic with cioverlap_od
:
56) ORCA             TDDFT       : Dynamics, Non-adiabatic with TD-BA
Select tests to be performed: 3,4,25,28-31,56
  • 上記で選んだ番号がテスト用のインプットファイル test.inp に出力される

量子化学計算アプリの実行環境を設定する

  • ログイン後にデフォルトでloadされるcudaopenmpiの実行環境が、量子化学計算アプリのものとコンフリクトするのでunload
module unload cuda openmpi
  • 量子化学計算アプリの実行環境をload
module load turbomole dftb+ gaussian orca

NX でテスト計算を実行する

$NX/test-nx.pl > test.log

テスト計算の結果を確認する

cat test.log

  • turbomolegaussianとの連携は正常終了
  • dftb+orcaを用いた計算はエラー終了
    • 環境設定だけの問題だと思うので、対応はそれほど難しくないと思う

まとめ

  • Newton-X は分子研スパコン上でも動く
NewtonX
Posted :