ある領域の学びから多くの収穫を得るための8つの問い

はじめに

学習者が自らの学び方をデザインするための手助けとなるさまざまなアイデアをインストラクショナルデザインに基づいて提供する「 学習設計マニュアル 」(鈴木克明・美馬のゆり編著)のなかで、Seller らによる「ある領域の学びから多くの収穫を得るための8つの問い」が紹介されていて、興味深く思いました。

ある領域の学びから多くの収穫を得るための8つの問い

  1. この科目を学ぶ主たるゴールは何か?
  2. この領域の人たちが達成しようとしていることは何か?
  3. 彼らはどのような問題を質問しているのか? 彼らはどのような種類の問題を解決しようとしているのか?
  4. 彼らはどのような情報やデータを集めているのか?
  5. 彼らの領域に特有の情報収集方法は何か?
  6. その領域で最も基本的な考え方・概念・理論は何か?
  7. この領域を学ぶことで自分自身の世の中の見方にどう影響するだろうか?
  8. この領域からの成果が日常生活にどう使われているか?

出典

4つの問い(アレンジ版)

原文のままでは使いづらさがあったので、少しだけアレンジして、4つの問いに集約。

  1. この分野の専門家たちが目指そうとしているゴール・達成しようとしている目標・解決しようとしている課題はどのようなものなのでしょうか?
  2. この分野からもたらされているさまざまな成果は、これまでに、私たちの普段の生活・身の回りの暮らしの中でどのように活用されてきたのでしょうか? あるいは将来、どのように活用されていくと予想されるのでしょうか?
  3. この分野で基本となる考え方・概念・理論には、どのようなものがあるのでしょうか? また、この分野に特有の情報収集方法として、どのようなものがあるのでしょうか?
  4. この分野について学ぶこと・その考え方などを身につけることは、あなた自身の「世の中に対する見方」などについても、助けになったり・影響があったりするのでしょうか?

まとめ

ある学会が主催した高校生向けの一般公開イベントのなかで、私がファシリテータとなり、アレンジした「4つの問い」を使ってその場にいた研究者たちに質問したところ、その学問分野の面白さに私自身も改めて気付かされるような「研究者の生の声」を聞くことができました。

たとえば、授業のガイダンスなどで、この「8つの問い」(原文)or「4つの問い」(アレンジ版)を使って、これから学びはじめる学問領域のことを調べるワークをしたり、教員自身が自らの専門領域に関して問いに答えるなどすることで、まずは学生たちに、その分野のファンになってもらうことからはじめるのも良いのではと思いました。


  1. Seller et al., 2014 の本文 p.41 の一部を著者らが訳出 ↩︎

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