Scrapbox を授業で活用しよう
はじめに
- 大学院と学部3年生の授業で、資料を Scrapbox で作ってみた
- 授業の最終回で Scrapbox についてアンケートを実施
- Scrapbox を活用する上での課題も見えてきたので、今後、改善したい
大学院の授業で Scrapbox を使ってみた
- 大学院授業「有機量子化学特論」の第1〜10週を担当
- 準備した資料
- 受講生は 37 名
- 授業中は「プレゼンテーション」モード
- ちょっとした「クイズ」ができるような工夫も
Scrapbox で「クイズ」もできたよ
- かんたんな工夫で、Scrapbox を使って「クイズ」もできました
大学院の授業:アンケートの結果
実施概要
- 第10週目に Google Formでアンケートを実施
- 回答数は 35 件(回答率は 95 %)
定量評価
自由記述
- Scrapboxを使った授業について、具体的なフィードバックや改善するための提案など、自由にコメントしてもらいました
- 以下は、受講生からのコメントについて、「良かった点」と「改善すべき点」に私が分類したもの
良かったところ
- 手元に資料があることで自分のペースで読み進められたり、見えにくいところもズームして見られるなど非常に良かった。
- スライドは1枚ずつ区切られているので、Scrapboxの方がよりストーリーのつながりを感じることができてとても良かったと思います。
不便だったところ
- スマートフォンやiPadだと、他のアプリを起動したり、別のサイトを開いたりして一度ブラウザを閉じると一定時間固まったり、ページの1番上に勝手に戻ったりするので不便でした。
- 動作が重くて読み込みに時間がかかった
- 後半の回に行くほど、スライドにたどり着くのが少々大変だった。
- 全てのスライドが入っているので、最新の授業のスライドまでがちょっと長くて見づらい時があった
- Apple端末の場合に、Googleではスライドの更新ができず焦りましたが、Safariに切り替えたところ更新して新しいスライドが見れたのでとても役に立ちました。
- iPadの画面を消したり他のページに移ったりしてから戻ると、画面が固まってしまったり、白くなってしまって見れなかったり、リンクを押せなかったりしたことが多く、時間制限のある課題の時は特に焦ってしまった。
- スクラップボックスが重いときがあり開かないときが度々あったため少し使いにくさを感じた
- 自身のiPadが原因の可能性もあるが、他のサイトや画面が消えると読み込みに非常に時間が掛かってしまい使いにくかった。
- 改善点は動画を再生するときに動作が遅かったこと。
- 初めて見る形の授業でとても新鮮だった。
- Scrapboxと他のサイト(manaba等)を行き来する際に、Scrapboxが毎回うつらなくなって毎度更新しなければいけない状況にあった。この点だけ、使いづらさを感じた。
- マウスカーソルが資料上にある状態でクリックし、矢印キーを使用するとコードのようなものが現れ少し煩わしさを感じました。PgUp,PgDnキーを使用する以外の対策があれば教えていただけると嬉しかったです。
- スライドのページが、サイトを更新したり、時間が経つと一番上まで戻ってしまい、9回10回あたりのスライドを見るために下まで遡るのが大変で、少し使用しづらい点だった。
- 他ページに移動してScrapboxに戻ってきた際に読み込みが非常に遅く、ストレスに感じた。
- 慣れていなかったので授業において行かれることがあったのでもう少しゆっくりが良いです。
- スライドモードだと、power pointの資料と比べて字が小さく見えるような印象があった。
- manabaの資料だといちいちログインする必要があるので面倒に感じるが、scrapboxの場合、お気に入りに設定しておけばすぐにアクセスできるので便利だった。
大学院の授業:改善すべきだと思ったこと
- 今回、資料を一望できた方が良いかなと思って、全ての授業回の内容を「1ページ」に詰め込んでみた
- そうすると、アンケートでも指摘があったように、ページの読み込みがとても遅くなってしまい、後半になると、その回の内容まで辿り着くのが大変だった
- 全ての資料を1ページに詰め込もうとしてはダメだった
- 授業回ごとにページを分けた方が良さそうだ
学部の授業で Scrapbox を使ってみた
- 学部授業「分子設計」の第7〜12週を担当
- 準備した資料
- 受講生は 102 名
大学院授業との違い
- 大学院授業で実施したアンケートの結果を見て、1ページに詰め込んではダメだと思ったので、途中から、授業回ごとにページに分けることにした
- 諸事情のため、最終回だけ、ふつうのプレゼンソフト(Keynote)で実施した
学部の授業:アンケートの結果
実施概要
- 第12週目に Google Formでアンケートを実施
- 回答数は 70 件(回答率は 69 %)
定量評価
自由記述
- Scrapboxを使った授業について、具体的なフィードバックや改善するための提案など、自由にコメントしてもらいました
- 以下は、受講生からのコメントについて、「良かった点」と「改善すべき点」に山本が分類したもの
良かったところ
- 授業の内容を最初にざっと確認しやすいため(スライドのようにめくる作業がない)個人的には良かったです。
- 途中から各週の講義資料をわけたのは、とても良かった。理由:iPadだと、1回にファイルに保存できるサイズが決まっているので、Webの下は方が保存できなかったから。
不便だったところ
- 受講生が多かったからなのか、大学が配布したiPadで授業中、操作しようとすると重かった。
- pdfの方が書き込みできるのでいいです
- 書き込めないことが少し難点です
- PDFのように直接書き込めないのが少し苦手でした。
- PDFとして保存するのに一手間かかるのがアレでした 何かいい方法があったのでしょうか
- PDFと違い、スクラップボックスに書き込みが出来ないのがやりにくく感じました。
- サーバーが重い時があり使いづらい。誤動作が多く見ているところがどっかにいく時があった。PDFにしてほしい。
- 第12回の講義や、今までの量子化学1・2のように、穴埋めされた完成版をpdf形式等で配信して欲しかった
- 書き込みが直接できなかったことに不便さを感じた。
- 後で回答が見れないのが少し不便だった
- 同時に複数人数がアクセスするのと学校のWiFi、iPadの性能が相まってScrapboxを開くのに時間かがかかったり重かったりした。
- 書き込みができなくて、いちいちスクショしたりしなくちゃいけなくて少し使いづらかった
- 便利で機能自体は良いと思うが、重くて動かないことなどシステム的な部分で不足があるように感じた。
- 時々スマホからでないと使えなかったりするURLや記入できそうでできない空欄に不便さを感じることはあったが、クイズ形式は目も覚めるので良かったと思う。
- ファイルに保存できないことに加えて、書き込むこともできないのでとても不便だった。また、文字を押すと関数みたいなものが表示されて使いずらかった。
- iPadと校内wifiを用いるとpdf等と比べ動作が重いのが気になった。
- リンクにアクセス出来ないことが多かったので対処法を明確にした方がいいなと思いました。
学部の授業:改善すべきだと思ったこと
- 授業回ごとにページを分けたのは良かったようだ
- アンケートの結果&何人かの学生に話を聞いてみると、多くの受講生が「PDF に書き込む」というスタイルで受講していることを知った
- Scrapbox のプレゼンモードだと PDF に変換しにくいのは不便との意見が多数
- たとえば、Google Chrome 拡張の「
GoFullPage
」を使って、ページ全体を1枚にまとめた PDF ファイルを配布したら良いかなと思った
まとめ
- アンケートの結果を読むと、大学院と学部の授業のどちらも、Scrapbox を利用した授業の総合的な満足度は「非常に満足〜普通」が 80% 以上
- 使っているときの「不便さ」を感じさせてしまって申し訳なかったなあと思うけれど、「授業の内容を最初にざっと確認しやすい」「ストーリーのつながりを感じることができる」などの意見もあった
- Scrapbox を使ってオンラインで資料を公開するという方針は、基本的には良いのかなと思った
- 一方で、あらわにはコメントされていないけれど、「結局は PDF で配布するスライド資料とそれほど変わらない」という意見もあるように思う
- Scrapbox について、自学自習を促す上手な活用法を検討したいと思った
参考:Scrapboxが授業で活用されている例