Beg the Question
元々の意味は?
Beg the Question は、論理学の専門用語で「循環論法」または「 論点先取 」を意味します。ラテン語の「petitio principii」の英訳になります。これは、アリストテレスが指摘した論理的誤謬で、議論の中で証明すべき結論を暗黙の前提としてしまうことを指します。
たとえば、Begging the Question の簡単な例として、
聖書は真実である。なぜなら、神の言葉だから。
The Bible is true, because it is the word of God.
という主張が挙げられます。この主張では、「聖書が真実である」という結論を裏付ける根拠として「神の言葉であること」を挙げていますが、その根拠自体がすでに「聖書が真実である」という結論を前提としているため、議論が堂々巡りになっています。
現在の使われ方は?
今日では、Beg the Question は、論理学の専門用語としての意味から離れ、「新たな疑問を提起する」という意味で使われることが多くなっています。たとえば、下記のような使い方です:
The success of this new product begs the question of whether there is a demand for it in the market in the first place.
このような用法は、もはや誤用というよりも、言語の自然な変容として受け入れられつつあります。実際、Oxford English Dictionary などの辞書も、この新しい用法を記載しています。
変容の背景
Beg the Question が誤って使われ始めた背景には、下記の要因がありそうです。
- beg は「懇願する」という一般的な意味を持ちます
- question は「疑問」や「問題」を意味します
- これらの単語を組み合わせた beg the question は、「疑問を引き起こす」という意味に自然と解釈されてしまいます
さらに、この表現は18世紀に「petitio principii」の英訳として定着しましたが、当時の「beg」には「(前提として)仮定する」という意味もありました。しかし、「beg」の古い用法が失われるにつれ、現代の人々は自然な英語の解釈として「新たな疑問を提起する」という意味を見出すようになったようです。